会長による「鶴見見晴らし百景」選定記です。
見晴らし百景の選定基準
去る2月5日「鶴見百景の会」のスタッフと有志一同あわせて総勢16名百景選出のための散策会を始めて実施しました。早速その報告を・・・といきたいところなのですが、その前に百景を選出するにあたってその基準なりポイントなりを明らかにしておくべきかと思い、以下の通り検討してみました。
(1)いわずもがなのことかもしれませんが選定する場所としては見学者がいつでも誰でもそこを訪れることが可能であること。
従ってどれほど見晴らしのよい絶好地であってもそこが商業施設であったり、個人の邸宅、私有地については原則的に最初から除外しています。
(2)単に見晴らしがよいから、というだけではなくそのロケーション内に以下にみるような条件を備えていること
①わが国を代表するような自然や建物物がある(富士山、東京タワー、スカイツリーなど)
②横浜市を象徴するものが存在する(みなとみらい市街地、ベイブリッジなど)
③鶴見区を象徴するようなものが存在する(電波塔、排気塔、貯水塔など)
以上(1)、(2)の二条件を満たした見晴らしスポットを求めて散策会をスタートしましたが、初回はまず手はじめとして鶴見区を代表する象徴的な寺院として総持寺に向けて鶴見駅から出発しました。
<第1景>総持寺①~お墓の奥に秘められた絶景スポット
総持寺本殿横の通路を通り抜けると急に視界が開けて、極めて眺望のよい場所が出現します。
すぐ下に見える墓地にはプロ野球の往年の名監督とうたわれた水原茂さんの眠るお墓が見えますが、でも、そこがおすすめスポットではありません。さらに奥へ奥へと入っていくと、たくさんの木立がびっしりと立ち並んで視界を遮っていますので、こんなところに選りすぐりの好適地があるのだろうかといぶかしく思いながら、なおも墓地の奥へと進んでいくと、木々の間にぽっかりとあいた空間が。
そこから一目覗いてみると、そこに見えてきた光景にあっと驚くばかり。しかも・・・「ここから見える光景ってすごいでしょ!?」「ウン、すごいねえ」「それにほらほら、あそこをみてみて!」「ええっ!!どこどこ?」「ほらほら、あそこに見えるでしょ!?」「なに?なに?何が見えるの?」「ほら!ほら!あそこ!目をこらして見たら!」「ええっ!何なの?まさか!」「そう!そのまさかなのよ!すごいでしょ!」「へえっ、こんなところからスカイツリーが見えるんだ!びっくり!」「そうなの、鶴見からもあのスカイツリーが見えるのよねえ!」とまあ、こんな会話がはずんでくるとしたら楽しいことうけあいですよね。
鶴見からスカイツリーが見える場所はそれほど多くはありませんが、総持寺の境内から見えるこの場所はそんな貴重な1カ所です。
<第2景>総持寺②~出口にもすてきな景観、おみのがしなく
裕次郎さんのお墓(もちろん石原裕次郎さんのことです)の前にある路地を、まっすぐに進んでしばらくいくと、鶴見の地にとってはかけがえのない人物の一人である浅野総一郎氏がねむる広大な墓地が。そこからさらに進んで行くと總持寺の出口にたどり着きますが、すぐ目の前には鶴見高校のモダンな校舎が見えてきます。
そこで立ち止まって、ちょっと横を見おろすと、これまた素晴らしい景観が展開しています。
一面に広がる斜面をみつめているだけでも心地よい気分になり、その向こうには鶴見区を象徴する電波塔がくっきりと。
この電波塔は鶴見区のいたるところで目視することができますので、将来的には電波塔めぐりを中心にしたスタンプラリーを楽しむプランを構想中です。
<第3景>東台~横浜の名所が3点セットで
総持寺を後に直線コースをたどっていくと、今は亡き大物俳優さんの邸宅が。
その建物を一瞥しながらなおも進むと家と家のスキマからチラリチラリと見晴らしのよさそうな景色が見えてきます。誘惑に負けることなくわき目もふらずに通りすぎると、やがて眼下に階段状になった坂道が見えたらようやくお目当てのスポットです。ここからの眺めも一押しでつばさ大橋とベイブリッジとがおそろいで目にできますし、橋と橋の間には横浜を代表する建物がもう一つ。
「ここからだとつばさ橋ベイブリッジもよく見えるけど、あの橋の間に、にょきっと立っている2つの白いタワーみたいなものは何?」「ああ、あのタワーね、あれは東京電力の横浜火力発電所の煙突なのよ。地元では”ツインタワー”と言われていて結構有名だよ。」「あんなところに火力発電所があったなんて知らなかったなあ。」「発電所がある場所は大黒ふ頭。ここからあのタワー越しに日の出がよく見えるというので、元日になるとこのあたりにはご来光を見るために多くの人が集まるみたい。」「あの発電所はいまも稼働しているのかな」「フル稼働していて、その熱源を利用してイチゴの栽培をしているようですよ。一年中イチゴ狩りを楽しむことができるということで大評判なの。」「それなら一度行ってみたいものだね」
こんな会話も聞こえてきて、それを耳にしているだけで、いつしかおすすめスポットの情報通になれるかもしれませんね・・・。
そんな見晴らし講義にも区切りをつけ、次なる目的地へ。
<第4景>~花月園公園①~西口ゲートから振り返って見る景色は格別
さざんかの季節も終わりに近づきつつあった時期のせいか花月園に向かう階段を一段ずつ上りながらかつてのTVドラマ必殺シリーズの主題歌の一つであった「さよなら、さざんか」という歌が想いうかんできました。その曲の一節に「さよなら、さざんか、坂の町♪」という歌詞があり、ここにたどり着くまでに多くの坂を上ったり下ったりしてきたことを考えると、この曲は鶴見のことを表現しているのではないかと勝手に妄想を広げていると、目の前に男の子が登場!階段の鉄柵につかまりながら「ボクを写真にとってもいいよ」と言っています。小学一年生くらいの年齢ですのに、決めポーズをとって大人の気持ちをうながそうとしています。ひょっこり現れた天使のような天真爛漫さに坂を登りつめてきた苦労も一気に吹き飛んでしまうかのようでした。
そうこうしているうちに最後の一段をのぼり切って振りかえってみますと、ランドマークタワーの雄姿をはじめ、周辺市街地の景色がまっさきに目に飛び込んできました。これはまさに花月園公園という鶴見の新しい名所が生み出した壮大なスケールの景観であり、一押しのロケーションとして全国に向けてPRすべきゾーンではないか・・・という気持ちがたぎってきます。
夏の花火大会の時、ここからの眺めはさぞやーと思わせ、「坂の町」鶴見の強さを実感しました。
<第5景>花月園公園②~市街地を一望できる大パノラマ
坂の登り降りを重ねて最後の登り坂を上がり切ると、そこには目を見張るような広大な広場が。
それもそのはず、その昔、この地に兵庫県の宝塚と並んで東の宝塚と称された花月園という劇場があったというのも、この地を訪れてみただけで納得できます。その後、競輪場として使われていたこともあったというくらいですので、これほどの広大な敷地が広がっているのも当然かもしれません。
その広場を横切って中央にある階段の最上階まで登って見ると、あっと息をのむような大パノラマが広がっています。
しかも、みなとみらいの市街地をはじめ、ベイブリッジやつばさ大橋も、すべてをワシづかみをしているかのような気分にかられ、見晴らしの楽しさを存分に堪能することができました。
どこかの町には、港の見える丘公園という超有名な名所がありますが、そこに勝るとも劣らないような規模と風格をそなえた新名所となる可能性は大ありではないでしょうか。あっ、いけない、これ以上熱くなり出したら、ライバル意識がむき出しになりそうですので、ここでやめておきます。