第52景 横浜線と綱島街道の交差地点 いざトンネル見学会へ
鶴見区に住んでいる人でも区内にトンネルがあることを知らない人が意外に多いようです。場所は横浜線の大口駅と菊名駅との間にあって、その上には綱島街道が通っています。トンネルといってもわずか50メートル位の道幅ですので、むしろ陸橋ではないかと思ってしまいがちですが、紛れもなく丘陵地をくりぬいて作り上げた隧道(すいどう)で、その名も「寺尾トンネル」と言う立派なネーミングも。
このトンネルそのものが高い位置にありますので、その上からの眺望にも見ごたえがあり、眼下には横浜線の電車が絶えず行き交い、その横には数年前に開通した首都高速の馬場インターの出入り口が大きくカーブを描いているのが見えています。さらにインターに隣接して建てられた排気塔もこの界隈のシンボルタワーになっています。
そのずっと向こうには東電の2本の煙突がにょっきり立っているのが見えていて、このトンネルの上からパノラマ気分を味わいながら、絶景美を堪能できるのも一興と言えるでしょう。このトンネルの面白いところは鶴見区と港北区との区境になっていて、綱島街道の東側の半分が鶴見区、西側の半分が港北区と言うように区割りがきっちりされています。このような決断を下した粋な計らいに、拍手!拍手です!
53景 法隆寺前バス停(綱島街道) 金網越しにベイブリッジが
寺尾トンネルを後に綱島街道を引き返しますと、そのすぐ側に「法隆寺前」と言うバス停があります。このバス停付近からの眺めはいかにと言う事ですが、寺尾トンネルとそれほど離れた場所にあるわけではないのに、ここから見える景色はまるで違っていて、左手には貯水塔の黒い影がぽっかりと浮かんでいます。続いて馬場インターの排気塔と東電の二本の煙突、さらにはベイブリッジの頭部まではっきりと目視することができます。
ただし、この辺一帯は、馬場インターの建設に付属する広大な敷地があり、その外周は全て金網で覆われていますが、こんな広々とした敷地が近い将来、どんな形での利用が始まるだろうと付近で暮らす一住民としての期待感が膨らむばかりです!
第54景 建功寺洗心庵 お墓の上にそびえる電波塔
建功寺界隈までやってきますと今度は神奈川区側の地名も交互に登場してきたりしますので、地番の確認に戸惑うこともしばしば。
第54景となる洗心庵も建功寺内にありながら、スマホかざして確認しますと「松見町」と出てきますので、明らかに神奈川区内にあることになります。ただしお目当てとなる景観は、洗心庵から、少しお墓の方へと入った場所にありますので、紛れもなく鶴見区内の敷地といえます。
お墓の手前にはお花畑もあり、四季折々の花々が訪れる人々の心を和ませていますし、しかもお墓が立ち並ぶ風景の向こう側には、あの電波塔がくっきりと立ち上がっていて、建功寺内ならではの景色を楽しむことができます。特に桜の季節となりますと、咲きそろう花々に囲まれて、いっそう塔の美しさを際立たせている点も見所と言えるでしょう。
第55景 東寺尾1丁目9 区境の尾根伝いから見える眺望
次なるお目当ての景観地は、西寺尾((神奈川区)と東寺尾(鶴見区)との区境に通っている尾根伝いの道から展望を楽しむコースです。
特にこの辺りの地形は、急斜面が多くて、この道にたどり着くまでの行程そのものがこの界隈に暮らすお年寄りとっては難渋を極めるのではないかと懸念したくなります。それだけにこの尾根道からみなとみらい方面の眺めには見事な景観美を見せるところが何カ所かあり、そのうちから東寺尾1丁目の交差点からの景色が一押しとなりました。電柱がビル群のすぐ横に立ってはいるものの、ランドマークタワーを始めとして彼の地の象徴的な建物はきれいな彩りを添えていて、見る人の心を飽きさせないものを秘めています。
第56景 松陰寺奥院 貯水塔と電波塔が一つに重なって
区境になる尾根伝いの坂道を下って行きますと、横浜市水道局が管理している東寺尾配水池あたりまでやってきます。次第に人家が途切れて見当たらなくなり、あたり一帯の景色も一変していきます。
やがて松陰寺の門前へと出て来て、そこにある交差点からさらに左手の路地を奥へと入っていくと、目の前には貯水塔と電波塔とが次第に近づいていくように見えてきます。そして路地の奥まった所までやってくると、見事に1つに重なってちょっと珍しい景観を呈しています。貯水塔と電波塔とが重なって見える場所は、おそらくここだけではないかと考えると景観地探しの楽しみも倍増してくるばかりです。この路地周辺には、たくさんのサルスベリの木が植えられていて、夏から秋にかけてこの辺一帯が赤や白の花が咲き乱れて門前をにぎやかに彩ってくれるようです(写真参照)。
撮影は2023年4月以前です。
第57景 松陰寺門前の交差点 古風な坂道に城下町の趣
松陰寺は県下でもかなり由緒のある古刹であるためか、門前にある五差路から見える坂道にはどことなく古風な雰囲気が漂っていて、古い時代からの街の様子を残しているように感じられます。
例えば、坂道の正面に見えるランドマークタワーやみなとみらいのビル群を借景にしながら、ランドマークタワーを天守閣、その周りのビル群をお城を取り巻く数々の櫓と見立ててみますと、城下町のような趣が感じられるのですが、いかがでしょうか。
それだけにこの場所にたたずんでいますといつしか「私の城下町」という歌の一節が浮かんできて、この光景、いつかどこかで見たような感じがするなぁ、松山だったか、岡山だったか、それとも会津若松だったかといった既視感のようなものがこみ上げてきます。
第58景 東寺尾3丁目11 電波塔と貯水塔とが視界ギリギリに
松陰寺を背に横浜商科大学方面に歩いて行くと、 右へ左へと道路が急カーブを描いているところも多く、それがいかにも尾根伝いのルートであることを実感させます。そして歩くこと15分ぐらい経った頃、写真に見るような光景が出てきます。画像を見ても別に取り立てて一押しするような景観ではないのですが、写真をよくよく確認してみると画面の左側に貯水塔の黒い影が。そして右側のギリギリの所には、電柱の横にうっすらと見える電波塔の赤と白の姿があります。
このようにこの2つの塔がギリギリ離れた形で見えるのは、おそらくここだけの空間ではないかと思います。しかもこのロケーション場所としては、尾根道から見えてくる光景ではなく、そこからちょっと下がったあたりに登場してくる景色であり、そこの地点から上に行ってても下に行っても電波塔と貯水塔という両方の姿をとらえることができません。その意味でこの場所は2つのモニュメントがギリギリの距離で目視できる格好のスポットと言うことになるかもしれません。その宝探しをしてみるのも百景巡りの楽しみ方の1つと言えるのではないでしょうか。
第59景 東寺尾3丁目公園上 向かいの高台に浮かんで見える貯水塔
人家がびっしり立ち並ぶ景色が突然途切れて、下の方から子供たちの元気にはしゃぎ回る声が聞こえてきます。見下ろしますとちょっと大きめな公園が視界に飛び込んできて、子供たちにとっては格好の遊び場として親しまれている様子が伺えます。その公園の周りには巨大なマンションが取り囲むようにして林立していますが、このような高い建物が密集している地形の中に一体何が見えるのかと言えば・・・
家々が立ち並ぶ屋根の上にぽっかりと浮かび上がる貯水塔の姿です。人家の屋根の上にちょこんと乗っかっているかのように見えるその姿は健気でもあり、いじらしくもあって、どことなく人の心をホット和ませてくれる何かがあるような気がしていきます。
第60景 横浜商科大学つるみキャンパス 市内でも指折りの景観地
東寺尾3丁目公園を後に庚申塔のある場所を左へ反転すると、いよいよ目的地の横浜商科大学つるみキャンパスです!すでに数日前に下見も兼ねて、当キャンバスを訪れ、百景の会のメンバーが見学させていただくことの許可を得ていましたので(どうもありがとうございます!) 広場の手前でガードをしている警備員さんに事情をお話しするとここよく応対してくれました。
かねてより当キャンバスからの見晴らしの良さは格別で、横浜市内でも有数のロケーション地であると聞き及んでいましただけに、期待感は高まるばかり。それだけに見晴台からの景色を展望した時には、息を飲むばかりの景観美にしばし見とれてしまう状態でした。真っ先に飛び込んできたのは、つばさ大橋と東電の煙突の姿であり、堂々と自らの存在感を誇示するかのような眺望は、当キャンバスならではの光景と言えましょう。さらに横に移動してみると、たくさんのマンションが見えるその上方にベイブリッジの頭部を見ることもできます。一方、左手に視界を移すと、無数のクレーンがあたかも巨大なアメリカザリガニが群れをなし爪を天に向かって突出しているかのようです。
その光景はまさに京浜工業地帯の底力というか、活力源の大きさを目の前に見せつけているような気がしてきます。
ところで、このキャンバスの見学を希望する際のお願いです。訪問時のマナーとして正門を入って左側にある事務局を訪ね、見学のお願いを申し出てからキャンパス内に入るよう心がけてください。
61景 岸谷2丁目生麦中学校裏手 つばさ大橋から総持寺の大伽藍まで
横浜商科大学つるみキャンパスを後に次に目指すは反対側の丘陵地にある生麦中学校へ。
つるみキャンバスの高台から下って1号線を横断すると、まもなく上り坂が続いています。左へ右へとカーブを登りつめていくと目の前が突然開けてきて、総持寺の大伽藍が目視できます。しかしまだまだそこは本命の候補地ではありません。あと数十メートルほど進んだところで後方を振り返ると、家々の屋根の上に生麦ジャンクションが見え、さらにその上方にはつばさ大橋の羽根を広げた光景が目に飛び込んできて、これこそ最高の景観美ではないかと実感させるものがあります。
そしてその横には東電のあの煙突がきれいな姿を見せています。生麦中学校の生徒たちにとっては通学路でもありますので、毎日のようにこの景色を目にしているかもしれません。それだけにここからの眺望の良さは一押しの価値があり、子供たちにとってもよき思い出の地となっていくためにも、貴重なモニュメントとして、いつまでもこの景色を大切に残し続けたいと願う気持ちがこみ上げてきます。
62景 生麦中学校正門前 異彩を放つ新子安のタワー
生麦中学校を取り囲むようにして道路が続いていて、そのダラダラ坂を登りつめていくと、やがて中学校の正門前へ。丘陵地の山頂に学校が建てられていることもあり、ここからの眺望もなかなかのものがあります。眼下に広がる街並みは子安台1丁目と2丁目という地番となるようですので、学校の外郭そのものが鶴見区と神奈川区との区境になっていて、しかも学校の敷地が神奈川区の方へ突き出ていているかのような地形になっています。
ここからの景観はどうかといいますと、写真を見てもおわかりのように新子安の駅前にあるオルトヨコハマビュータワーが圧倒的な存在感を放っていて、その向こうに見えているみなとみらいのビル群も心なしか影が薄くなっています。新子安のビュータワーは日ごろからあちこちでよく見かける光景なのですが、平素はそれほど印象深く映らない建物なのに、この場所から見る景色がこれほどまでに異彩を放つ存在になっている事自体なんとも予想外の展開であり、当方にとってはサプライズに近いものを感じさせられました。あいにくこの時間帯にあっては期待していた富士山の山容を拝する事は出来ませんでした。ウーン、残念!