(2023年12月に散策しております。)
第78景 バス停前から見る電波塔 三ツ池口バス停
バスを降りたら電波塔が見えた・・・なんとも平凡で代わり映えのしない言い回しですが、確かにこれがバス停を降りて塔が見えた時の率直な感想と言えるのではないでしょうか。ただややこしいことに三ツ池口と名のつくバス停が3箇所もあって、それぞれが離れた場所にあるため、どこにあるバス停なのかを特定しておく必要があります。お目当てのところは鶴見駅西口から川崎駅西口を結ぶコースにあるバス停で、バスを降りたら川崎方面を見るなり電波塔の姿がいきなり目に飛び込んできます。「どう、この景色?」「あの電波塔がとてもきれいに見えるね。電柱や電線が張り巡らされていてちょっと鬱陶しい気もするけど、大きさといい形といいちょうどいい格好で収まっていると思うけど」「ここが景観地として一押しの理由として2つあるんだ、1つ目は、なんといってもこの道路のど真ん中にあることだろうなぁ!」「確かに道路の真ん中に電波塔が見える景色は貴重なポジションだとは思うけど、他にも同じような場所はあるのでは?」「あるにはあるんだけど、ここから見えるロケーションは他の場所とは違った特色があるんだなぁ」「どういうこと?」「それが第2の理由なんだ。この場所から塔までの距離が遠すぎず、近すぎず、ちょうどほどよいところにあるから、姿形が綺麗でかっこよく見えるんじゃないかと思うんだ」
この会話にもあるように、三ツ池口バス停から見える電波塔は、電柱や電線による煩雑さを別とすれば、道路の真ん中にくっきりと聳え立つ姿は、この場所ならではの一押しの景観と言えるのではないでしょうか。
第79景 あの謎めいた建物は何? 白鵬女子高前
三ツ池口バス停を後に川崎方面へ進んでほどなくして左手の路地を入ると、すぐに白鵬女子高の前を通る道路が出てきます。女子高のちょっと手前で後ろを振り返ると、これまた道の真ん中に黒々としたビルがそびえ立っている姿が目に留まります。あの建物は一体何か?。参加者からもいろいろな意見が出て、最初は横浜市のシンボルタワーであるランドマークではないかという指摘もあったのですが「いやいや、ランドマークだったら、あんなふうに一つだけポツンと立っているようには見えないはず!」「多分あのような見える景色から推定すると、横浜駅周辺に最近竣工した新興のビルではないか」という声も。かと思えば「この方向に見えるのは新子安駅前の高層ビルではないか」というように議論百出!。最終的には位置関係から推定してランドマークタワーであると確定できたのですが、ただ道路の真ん中に黒々と浮かび上がって見える建物はなんとも異彩を放っていて、さすがに横浜市を代表する建造物であることを圧倒的な存在感をもって実感させられる光景でもあります。
第80景 シークレインがくっきり 北寺尾2丁目9
白鵬女子高前の通りから再びさっきのバス通りへと引き返し、別所交番前の交差点を越えてすぐに左手の細い路地を入っていくと、鶴見駅東口のシンボルとも言うべきシークレインのビルがくっきりと浮かび上がっているのが見えてきます。写真では、シークレインよりもその手前にある食品スーパーの方が鮮やかに見えますが、この場所からは結構な距離でありながら、シークレインの各階別の層がはっきりと目視できるくらいにきれいな姿を見せています。
第81景 シークレインと森永工場を眺望 下末吉5丁目8
第80 景を後にもと来たバス通りをさらに十数メートル進むと、同じように左手側に入る路地があります。バス通りのほんのわずかな距離を移動しただけですので、同じような景色が見えるのかと想像しつつ路地に入り込んでいくと、確かにシークレインのビルが見えてくるのですが、そこからほんの少しだけ下へ降りて左側に視線を向けると、森永工場のシンボルともいうべきあの赤いマークをとらえることができます。80景からほんの十数メートル進んでみただけなのに、見えてくる景色はにこんなにも違いが出てくるのですが、80景との違いはそれだけではないようです。この辺の地域標識を調べてみると、80景の場所は「北寺尾」だったのに、ここは「下末吉」と町名そのものが変わっています。折しもこの坂道を下から登ってくる人に出会いましたので、早速尋ねてみると「こちら側は北寺尾で反対側は下末吉なんですよ」と教えてくれました。ということは、この狭い路地が北寺尾と下末吉を隔てる境界線になっていると言うことです。町名が変わったから見える景色も変わっているということではないでしょうが、それにしてもこの違いにはそれなりの意味があるのかもしれません。
第82景 総持寺の大伽藍と東電の2本の煙突 下末吉5丁目13
「ケンツル」こと県立鶴見高校の前の道路を正門付近で右手へと折れていく路地を進むと、送電線の鉄塔をこえたあたりがお目当ての場所です。ただし人家の門の向こうに見える景色がお勧めのところなのですが、うっかりすると通り過ぎてしまいそうになるくらいに狭い位置にありますので、場所の特定にはくれぐれもご用心を!。そこから何が見えるのかと言えば、総持寺の大伽藍とその横にニョッキと立ち並ぶ二本の煙突が一幅の絵柄のような彩りを添えています。
「あそこに見える總持寺の大きな伽藍は何というお堂ですか?」「あれは大祖堂(ダイソドウ)と言うお堂です、千畳敷もの部屋のあるお堂で、總持寺の中でも最大級の建物のとのこと、あの御堂の凄さはそれだけではなく、あの緑色に見える屋根は、瓦葺きの形にした銅板が貼られていて、その重量は53トンにもなると言われており、その重さをあのお堂が支えていると思うと、それだけでも建物の構造の凄さを考えさせられてしまうね!」
付近のマンションに住んでる人の話によれば、すぐそばにある緩やかな坂道から東京方面を眺めると、見晴らしのよい日だったら、はるか向こうに東京タワーの姿をとらえることができるということです。
第83景 見晴らしのよさは最高! 下末吉6丁目11
再びバス通りに帰ってきて「末吉中学校入口」と言う交差点を直進していきます。この辺りになると電波塔がすぐそばにありますので、そこかしこで大きくそそり立つ姿が目につくようになります。旭台幼稚園を過ぎ、ダラダラとした坂道を登りきったあたりで、左側の路地を見ると、見晴らしのよさそうな景色が目に留まります。近づいてみると期待にたがわずみごとなロケーションで、参加者からも思わず「ここからの見晴らしはすごい!」と感嘆の声。眼下を見下ろすと真正面に森永の工場が見えて、手を伸ばしたら届きそうな至近距離に捉えることができます。そしてその遥か向こうには藍色の稜線を描く房総半島の山陰がうっすらと浮かんでいます。さらに右手に見える丘陵地には、人家が立錐の余地がないくらいにびっしりと立ち並んでいて、これはこれで壮観な佇まいを見せています。この界隈には見晴らしのよい場所が目白押しといってもいいほどに存在していますが、その中にあってもこのあたりから眺望するロケーションは第一級の景勝地と言えるのではないでしょうか。
第84景 シークレイン、總持寺、二本の煙突 下末吉6丁目17
83 景を後に末吉中学校方面へとさらに進んでいくとAGC社の社員寮が見えてきます。この会社は、かって旭硝子株式会社と称しており、2018年に現社名のAGCと言うネーミングに変更しています。その社員寮の横を右折していくと、やがて眺望のよさそうな場所が現れてきますが、やがて目の前には金網を張りめぐらせたフェンスのT字路に。その場所から下を眺めると、巨大なマンションがあって、あたかも1つの街を構成しているかのような景観を作り出しています。右手側の路地に進んでいくと、やがて階段が下へと続いていきますが、その手前で正面を見ると、なんとその遥か向こうにシークレインのビルがくっきりと浮かび上がっています。そればかりか向かいの丘陵地にある家々の屋根の上に總持寺大伽藍の頭部がほんの一部かすかに見えています。そしてその横には、例の東電の二本の煙突がにょっきりと顔を出している光景も見えています。83景の場所からちょっと移動してみただけなのに、見えてくる景色の違いがこれほどまでに様変わりしてしまうというのも、この場所が地形的に南側に向いて大きく突き出しているからなのでしょうか。
第85景 シークレインとつばさ大橋の組み合わせ 上末吉1丁目4
先ほど通ってきた道路へと引き返し、末吉中学校の前まで来ると右手側に「川崎市上下水道局」という看板をつけた施設が現れてきます。鶴見区の区域内にありながら、川崎市云々というネーミングはこれ如何に・・・といった詮索は別の機会に譲るとして、その施設の横を左折する路地を進んでいくと、AG Cの社員寮の表玄関が現れてきました。その建物名も「ソレイユ旭台」とありますが、その前をさらに進んでいくとと息を呑むようなみごとな光景が目に飛び込んできました。目を凝らして確かめてみると、つばさ大橋の真ん中にシークレインのビルが鎮座しています。その向こうには房総半島の稜線がくっきりと描き出していて、なんとも感動的な景色を見せています。シークレインとつばさ大橋、そして房総半島という三者の絶妙な取り合わせは、この場所特有の位置関係によって構成されているからなのかもしれません。地番もいつの間にか下末吉から上末吉へと変わっていて、移動した距離はそれほどでもないのに、これほどまでに時々刻々と変化していく景色の移り変わりは、街歩きの楽しさを堪能する百景ファンにとっては、たまらない魅力の1つになっています。
第86景 なんとも贅沢な景観美 上末吉1丁目公園
水道局の敷地の後ろ側にある細い路地を進んでいくと、もの寂しいような殺風景な景色に囲まれていきます。ところが道なりに歩いて行くと、思いがけないようところに公園が現れ、その付近には横浜三ツ池公園パークホームズというマンションがあります。この公園からの景色もなかなかの景観で、真っ先に見えてくるのもシークレインのビル、しかもその後ろにはつばさ大橋が控えています。その横には總持寺大祖堂の屋根が緑色に輝いているのも視界に捉えることができます。ところが今まで大祖堂の右側に見えていたあの二本の煙突が、今やお堂の左側に見えていて、ちょっと不思議な光景を目撃したかのような気分に!。これは参加者一同にとっても全くの想定外で、その景色がなぜそうなっているのか、ちょっとした謎解きをしてみたいところですが、その解明については今後の課題として時間をかけて取り組んでみたいところであります。それにしてもここから見えるモニュメントといえば、シークレインを始め、つばさ大橋さらには總持寺の大祖堂、そして隣に見える東電の二本の煙突と言うように、鶴見区を象徴する建造物が勢揃いをしていて、景観としてはものすごく贅沢なロケーションを提供している好適地といえましょう。
第87景 鶴見橋と森永橋の景観美 上末吉1丁目20
川崎市水道局の施設をぐるりと1周したところで、右手側にまたまた見晴らしのよいところが出現!目の前に川崎市内のビル群がびっしりと立ち並んでいて、その手前には鶴見川の土手も見えて、そのさらに右手側に視線を移すと森永の工場や森永橋を見ることができます。そしてその向こうには旧東海道を結ぶ鶴見川橋まで見えて、壮観そのものです。
「下末石から上末吉まで歩いてきたけど、これほど見晴らしのよいところがたくさんあるなんて知らなかった。この界隈だったら、いくつかの絶景スポットがあるかもしれないと思っていたけど、こんなにも次から次へとパノラマのような景色が続いていることに、改めて感激しますね。」「そうだね。下末吉にしても上末吉にしても、数十メートルの間隔で盛りだくさんの絶景スポットがあったことに、ちょっとした驚きを感じたというのが、正直な気持ちだなぁ!ここから森永の工場が見えるので、そのすぐそばにある森永橋が見えるのは当然だとしても、そのずっと向こうにある鶴見川橋まで見えるなんて予想外だね。この界隈を丁寧に歩いてみたら隠れた絶景スポットがもっとたくさん見つかるかもしれないなぁ」「確かにそういうこともあるかもしれないけど、それとは別に私たちと絶景スポットの出会いのようなものもあるような気もするね。だからそんなに欲張らないで1カ所1カ所のとの出会いを大切にして、いつまでも地域の人たちに共感してもらえるような景観地の発掘を進めていくことが大切かも。」「なるほど!大切なポイントを忘れるところだったな。数を集めることより景観地の見所をもっと重視すべきだと、肝に銘じておくよ」
第88景 尻手のマンションがズラリ 上末吉1丁目19
「確かこの辺から東京タワーが見えると聞いたのでここまでやってきたけど、今日は東京方面の視界がよくないので、タワーも見えないようだなぁ!」
この場所は87景の公園からくねくねと曲がりくねった路地を道なりに進んでいき、やがて真福寺というお寺さんの門前を通り抜けると、次第に視界が開けてきて、やがて目の前に川崎の市街地を一望できる眺望バツグンの高台の一角にあります。さきほどの87景が上末吉1丁目公園とありますから、ここも上末吉1丁目であることに違いありませんが、あたりには下へ降りて行く坂道が何本も通っていて、おそらく1丁目のほぼ中央部に位置しているようです。「東京タワーが見えるので、それを確認するためにここまでやってきたけど、それが空振りに終わってしまったので、その他にここから見えるものには何があるんだろう?」「家々の影になっていて、よく見えないけど、確かこのすぐ下には鶴見川が流れているはず。ただここから見えるのは、ずっと向こうに尻手のマンションがいくつも立ち並んでいて、その壮観な光景は、鶴見区のちょっとした名所としてPRすべきかもね。」
第89景 電波塔とプリンスホテルの取り合わせ コスモ三ツ池公園
88景を後に末吉中学校の前を通っている道路にまで引き返して、中学校方面へと歩いて行くと、地名も上末吉から梶山へと変わって、あたりの景色もこれまでとは一変、左手側に新横浜のプリンスホテルの丸いビルがちらほら見え隠れしています。やがてコスモ三ツ池公園というマンションの辺りまでやってくると、電波塔のすぐ横にプリンスホテルが三ツ池公園の木々の上にぽっかりと顔を覗かせています。電波塔のすぐ横にプリンスホテルが見えるという取り合わせはなかなか目にすることのできない景色だけに、ロケーションとしては貴重なスポットの一つといえましょう。この辺りまで来るともはや電波塔が立っているご当地そのものであるだけに、地元の風物やすぐ側にある三ツ池公園とも一体となって、堂々とそびえている光景は一幅の絵模様を思わせるものがあります。
第90景 電波塔のご当地見つけたり! 梶山1丁目29
私たち鶴見区民は電波塔そのものは区内のあちこちで見かけることができますので、電波塔そのものがどこに存在し、どのように建てられているのかについては確かめることををしないまま過ごしているのではないでしょうか。恥ずかしいことながら、かくいう自分もこうして百景の取材のために街歩きをするまでは、三ツ池公園のすぐそばにあるらしいといったあやふやな知識しか持ち合わせておりませんでした。それだけに電波塔が立っている所在地にまで出向いていって、現地を目撃できたことは一つの貴重な体験をしたという気分になりました。塔の下に立つ白い建造物の周囲には、それを取り囲むようにの基礎部分の鉄骨が設えていて、その真紅の色合いは木々の緑色とも対比して美しい景観を醸し出していました。その鮮やかな光景を確認してみたことだけでも現地までやってきた甲斐があったなぁと実感できました。そして上を見上げると赤と白の配色が青空に映えて、こんな景色を見ることができるのもこの場所を訪れた人のみに与えられる特権かも・・・といったらいい過ぎでしょうか。
近所の人の話によれば雷雨の激しいときには、この塔からはなれたところに落雷することが多いようなのですが「我が家をはじめこの辺りの家では塔のすぐそばにあるためか、雷が落ちるようなことは一度もないんだよ」と述懐していました。その意味では電波塔が盾になって周辺の家々を守っているということなのでしょうか。