第93景 鶴見川越しに電波塔の姿 国道1号線新鶴見橋付近

今回の街歩きは百景の会設立当初からの念願であった鶴見川沿いを散策するというコース巡りです。ただし、昨年の春にこの企画を実施したのですが、あいにく当日は、街歩きの出発直前から豪雨となり、スタッフ一同が全身ずぶ濡れ状態という最悪の日和に!それに比べて今回は絶好の天候に恵まれ、前回のリベンジも兼ねて、早速新鶴見橋付近から電波塔の様子をゲットすることに。この付近からの電波塔のロケーションは一押しのスポットというスタッフからの推薦もありましたので、取材に対するこだわりにもそれなりのものがありました。ただ橋のすぐそばだと済生会東部病院の建物の影になって、塔そのものが見えないという事情もありましたので、国道1号線を川崎方面へと少し移動した位置から、鶴見川越しに塔の様子をキャッチすることとなりました!。約9ヶ月の時を経て、ようやくこの場面を我が物にすることができましたが、赤と白の色彩に彩られた電波塔の姿をスポットとして収めるとしたら、やはりこの場所からの景色は外せない!というスタッフの熱い気持ちもわかるような気がしてきます。

第94景 森永橋とその周辺からの見所 宮元2丁目

新鶴見橋から土手沿いに降りていき、宮元2丁目あたりの川沿いを歩いて行くと、すぐ目の前に森永橋が迫ってきて、その遥か向こうには鶴見駅前にあるシークレインのビルがシルエット状に浮かんでいるのが見えています。そして、森永橋と並んで森永製菓の鶴見工場を視界にとらえることができるのですが、ここからすぐそばには漕艇場がありますので、川面には一艘のボートが浮かび静かに進んでいく様子が見えています。川沿いをさらに進んでいくと、対岸のマンションの上方には電波塔の姿もとらえることができますし、その右手側には總持寺大祖堂の屋根も見えていて、区内にあるいくつかの見所を提供しています。いずれにしても、森永の工場と電波塔、森永工場と總持寺の屋根とが並んで見えているところもあったりして、見る場所や位置によってそれぞれの建物の組み合わせごとの妙味を楽しむことができるのも、この地ならではの特色といえます。

第95景 建物の位置関係の面白さ JR線鉄橋付近

鶴見川巡りも森永橋を渡ったことで、宮元2丁目から対岸の下末吉から佃野方面へと移って、新しい展開での散策が始まります。そしてJR線の東海道線や京浜東北線のガードを潜り抜けて、七福神巡りの折にも通った鶴見川橋の下を進んでいくと、河川そのものが「く」の字状に曲がりくねっているためか、JR線の鉄橋の上には電波塔と森永工場とか並んで見えているものの、その見え方も森永工場が右側にそして電波塔が左側に並んで見えています。このように建造物同士の位置や関係性も、川の曲がり具合に応じて時々刻々と変化していく面白さを味わってみるのも、街歩きの楽しさを意義あるものにしてくれるのではないでしょうか。それはまた河川の形状を確かめながら見る人の位置関係によって、建物や建造物それぞれに入れ替わっていく様子を直に体感してみることで、自分なりのこだわりのスポットを作り出してみることもできるのではないでしょうか。次の第96景は鶴見川が大きく蛇行している形状によって、そうした意外性に満ちた景観を楽しむことができるスポットの1つとして、貴重なロケーションを提供してくれています。

第96景 ゆりかもめにランドマーク 潮鶴橋付近

もくもくと歩いているだけでは気がつかなかったことですが、鶴見中央から川沿いを下っていくと、鶴見川そのものが大きなカーブを描いて右へ左へと蛇行しています。もちろんそれは後になって地図を広げて確認してみてよくわかることなのですが、このように鶴見川の形状が変化することで見えてくる景色にも大きな違いが生じてきます。その劇的な展開を示しているのが潮鶴橋を越えて海岸方向を眺望してみたときのことでした。潮鶴橋に続く橋として潮見橋がありますが(とにかく鶴見川にはたくさんの橋が掛かっていますので、その橋の名称を考える当事者としては一苦労だったことでしょう!)、その向こうには広大な運河と倉庫群があるだけでそれほど高い建物がないからなのか、目の前に突然のようにしてあのランドマークタワーがその姿を表し始めました。こんなところからなぜみなとみらいのビルがーーという不思議な気持ちにかられる同時に、河川の形状によって次々に見せてくれる景色の移ろいは、まさに鶴見川が作り出すこの場所ならではのドラマといえるのではないかと実感させるものがありました。ポカポカ陽気にほだされてやってきたかわいい海鳥たちも、そうした鶴見川が作り出しているこの場所ならではの絶景スポットを楽しんでいるのかもしれませんね。

第97景 ニ本の煙突の本拠地へ 東京電力横浜火力発電所

鶴見駅東口よりバスに乗り込み一路スカイウォークへと行きたいところなのですが、その前に確認しておきたい取材地がありましたので、東電火力発電所前のバス停にて下車。目の前にはストロベリーパークがあり、ここは365日いつでもイチゴが食べられるということで、一頃は大評判のになったことがありましたが、と言ってもここがお目当ての取材先なのかと言えば、もちろんさにあらずです。いちご狩りの楽しみは別の機会に譲ってパークのすぐ横にある小高い丘に登って確認しました。対象となるのは言うまでもなくあのニ本の煙突の所在地確認です。何せ高さが200メートル級とあって、鶴見区内のどこからでも見ることができますが、それが東電の煙突であることまではわかっていても、実際にどこにどんな風にあるのかについては、知っているようで知らないという人も少なくないのではないでしょうか。この煙突は特殊な工法を用いて建造されていると言うだけに、近くで見ると「人と環境の調和を目指して」というポリシーそのままの景観美を楽しめます。普通煙突と言えばいく分か黒ずんだイメージが思い浮かびますが、このニ本の巨大煙突は白を基調とした外観は白さも白し純白そのままの色調で、そばで見ていても美しくて綺麗な清潔感を醸し出しているように感じます。

第98景 橋の両側には見所満載 大黒大橋

ストストロベリーパークを後に、いよいよ海釣り公園を目指してバス通りを進んでいくと、まもなく大黒大橋に。左手側を眺めるとつばさ大橋が現れてきて、なんとも優美で勇壮な景観を映し出しています。そしてこの大黒大橋のスロープ状になっている坂道を上っていくと、右手側にはランドマークタワーを始めとして、みなとみらいのビル群が視界に入ってきます。参加者の話によれば、その昔、といってもそれほど時代をさぼるわけではないようなのですが、この大橋がデートのメッカとなっていたそうで、土日ともなると行き交う車で大渋滞が発生するほどの人気スポットであったとか。確かに右を見ても左を眺めても見所満載で、橋の上からのロケーションとなると誰がみても文句なしの絶景コースです!橋を進んでいくほどに、眼下には輸出車なのか真新しいクルマが所狭しと並んでいるのがみえます。広大な駐車場に膨大な数量のクルマが整然と並べられていて、自動車大国ニッポンを象徴する光景であることは間違いないでしょう。

第99景 対岸には富津火力発電所の姿も 海釣り公園

大黒大橋を渡り切ると、左手には大黒パーキングエリア、そして右手側には本日のお目当てであるベイブリッジの巨大な橋梁とそのそばにあるスカイウォークの建物が見えています。一刻も早くスカイウォークの中に入って、空中散歩を体験してみたいといった誘惑を振り切って、一路海釣り公園向けて黙々と歩き続けます。そして到着してみるとここはまさに大黒ふ頭の最先端で、広大な東京湾を一望のもとに。思っていた以上に行き交う船舶の数が多くて、日本一の物流を誇る首都圏の巨大な海の集積地帯であることをわからせてくれます。対岸にはモヤでちょっと霞んでいますが、目をよくよく凝らしてみると、うっすらと富津火力発電所の2本の煙突も見えていて、指呼の間(しこのかん※)に房総半島が横たわっていることも実感できます。さらに左手には「風の塔」、そして右手側には横浜港のシンボルタワーの姿も見えて来訪者の目を楽しませてくれます。海岸を後にバス停にまで引っ返してきますと、そこからはこれから訪れるベイブリッジの美しい姿が、春の陽光に照らされて一幅の絵模様を描いていました。
 ※しこのかん・・・指差して 呼べば 答え が 返って 来る 程度 の距離のこと。

第100景(A)  まるでアートのような橋梁の構造 スカイウォーク周辺部

海釣り公園からバスにて移動し、スカイウォークの玄関前に到着。いきなり中に入るのはちょっとしたためらいもあり、せっかくベイブリッジの間近に来たのであるから、スカイウォークの建物の周りを一巡してベイブリッジを体感してみることに。横浜市を代表する巨大橋梁であり、首都圏にとっても1つのシンボル的な存在にもなっているベイブリッジのことですから、橋桁の大きさは言うに及ばず、それを支える橋脚の大きさも当然のことながら半端なものではありません。普段はこの橋を遠方から眺めながら「今日のベイブリッジは美しいわね」とか「夕日に照らされている橋の美観はやっぱり見事だよね」とか感嘆してることが少なくありません。でもこうしてベイブリッジの懐に飛び込んで構築されている建造物の一つ一つが、まるでアートのように組み立てられている様子を見ていると、やはり間近で橋の裏側や側面まで見聞してみるのも、街歩きならではの楽しみ方とは言えないでしょうか。

第100景(B)  鶴見区の名所がパノラマ状に スカイウォーク入り口付近

早速スカイウォークに入館してエレベーターで目的階まで上がると、真っ先に目に飛び込んでくるのが、あたり一帯に威風を払いながら堂々とした大黒大橋の景観美であります。ところが運河を挟んだ向こう側に目を凝らすと、鶴見区内にあるたくさんの名所が一堂に会しているのが見えます。上の方にはあの總持寺の大伽藍である大祖堂の巨大な屋根が緑色もまばゆいばかりの輝きを放って壮観そのものです。その左手には赤と白に彩られた電波塔が見えますし、大黒大橋の左手側には鶴見駅前ビルのシークレインの姿もとらえることができます。しかもその遥か向こうには、武蔵小杉のマンション群や鹿島田のビルまで見えるというなんともぜいたくなロケーションが広がっています。そしてちょっと視線を移動させるとベブリッジの横に設置されてされているスカイプロムナードの構築物が待ち構えていて、いよいよ空中散歩の第一歩を踏み出してみることに。

第100景(C)    空中散歩の醍醐味を実感 スカイプロムナード

スカイラウンジとスカイタワーを結ぶ空中にある通路のことをスカイプロムナードと呼ぶようですが、この通路を渡り始めるやいよいよ胸が高なり、外の景色を一刻も早くゲットしたいとの気持ちが逸るばかりです。この橋の下には横浜港を中心に船で物流を結ぶ海上の交通網が手に取るように眺めることができます。そしてランドマークタワーを始めとするみなとみらいのビル群もその全貌を捉えることができますし、横浜方面へと視線を返してみると、例の風力発電の風車が1番手前に見えてきます。好天に恵まれていたものの遠方の見通しがあまり良くないため、残念ながら期待していた富士山の姿を見ることができず、宿題を残すこととなりました。これもまた景観取材の継続性を考えると必要なことなのかもしれません。

第100景(D)   最高のパノラマを楽しむ スカイラウンジ

スカイウォークの醍醐味はまさにこのスカイラウンジを訪ねてこその体験と言えるのではないでしょうか。来訪者は橋を渡ってこのラウンジで終着地点となりますが、創造の翼をはばたかせ、この橋の向こうには山下埠頭があり、山下公園や中華街につながるルートへと結ばれ、横浜市の大繁華街へと続いていくことを考えれば、みなとヨコハマの見どころを鷲掴みにした気分に駆られます。それはともかくこのラウンジは360度の展望が可能で、しかも壁面や床には様々な展示物が横浜港やその周辺を形作っている建物群の紹介もしていて、空中散歩コースにいながらにして、みなとみらいや本牧埠頭の実景を調べることもできます。スカイラウンジを後にする際には、つばさ大橋の美しい姿も目にすることができます。おそらくこうした形でつばさ大橋の景観を見ることができるのも、スカイラウンジという場所柄によるものと思いますので、お見逃しすることがありませんように!